宮沢賢治

今日は、彗姐の好きな宮沢賢治について、すこしお話しておこうと思います。
彼は、はっきり言って偉大な才能に恵まれたスーパーヒーローではありません。ただ、純粋で、前向きで
他人を思いやるやさしい人です。いまも、そういう方はあちこちにいらっしゃいます。そういう方の代表
(シンボル)として好きなのです。

宮沢賢治を語る上で欠かせないのが、妹トシの存在です。女子大生のトシが病に倒れ東京の病院に
緊急入院した際、最愛の妹の看病はや、身の回りの世話はすべて賢治が行いました。そればかりか、
病院の汚れたトイレの掃除も行っていました。 看病の甲斐あってトシは地元花巻の女子高の先生に
なります。トシは花巻随一の才媛で文学や宗教、そして生き方などを賢治と対等に話せる唯一の人で
した。そのトシがみぞれ降る寒い夜亡くなりました。24歳です。賢治は、押入れで、慟哭したそうです。

ーー「永訣の朝」ーー
けふのうちに
とほくへいってしまふわたくしのいもうとよ
みぞれがふっておもてはへんにあかるいのだ
(あめゆじゅとてちてけんじゃ)
うすあかくいっそう陰惨な雲から
みぞれはびちょびちょふってくる
(あめゆじゅとてちてけんじゃ)
青いじゅんさいのもやうのついた
これらふたつのかけた陶椀に
おまえがたべるあめゆきをとらうとして
わたくしはまがったてっぽうだまのやうに
このくらいみぞれのなかに飛び出した
(あめゆじゅとてちてけんじゃ)
蒼鉛いろの暗い雲から
みぞれはびちょびちょ沈んでくる
ああとし子
死ぬといういまごろになって
わたくしをいっしゃうあかるくするために
こんなさっぱりした雪のひとわんを
おまへはわたくしにたのんだのだ
ありがとうわたくしのけなげないもうとよ
わたくしもまっすぐにすすんでいくから
(あめゆじゅとてちてけんじゃ)
後半略

この「永訣の朝」「松の針」「無声慟哭」のあと賢治はトシを探しに出かけます。
その「青森挽歌」については、次回書きます。また、泣いちゃいました。